「酒は百厄(薬)の長?」 −3−
坂本 隆
依存症とは(2) 〜不快な離脱症状表れる
アルコールを長期間、大量に飲んでいると、切れた時に不快な症状が出ます。これが離脱(いわゆる「禁断」)症状であり、体がアルコールなしでいられなくなっている証拠といえます。そのことを「身体依存」といいます。
Bさん(42)は公務員。仕事はまじめですが、晩酌を欠かすことはなく、酒量も以前は水割り三杯ほどだったのが、次第に増えて五、六杯飲まないと寝付けません。書類を書こうとすると手が震えてしまうため、それを止めるためにポケット瓶をトイレで隠れて飲むようになりました。
アルコールは脳・神経系を抑制(マヒ)させますが、それが続くと脳・神経系はそれに対抗して常に興奮状態となり、アルコールのマヒと神経系の興奮がかろうじてつり合うことで体のバランスが保たれます。ところがアルコールが急になくなると脳・神経系の興奮だけが取り残され、神経系の異常興奮状態となるのです。これが離脱症状です。
(1)、自律神経症状として、吐気がしたり嘔吐する、寝汗をひどくかく(発汗)、心臓がトキドキする(心悸亢進)、食欲不振など。
(2)、情緒障害として、イライラする、落ち着きがなくなる、不安や神経過敏となる。
(3)、睡眠障害として、寝付けない、途中で目が覚める、悪夢をよく見るなど。
(4)、振戦:手の指や体全体が大きく震えたりすることもあります。
(5)、アルコール離脱けいれん発作:いわゆる「アルコールてんかん」です。
(6)、アルコール幻覚症:天井に虫がはっているように見えたり(幻視)、そこにいない人の声が聞こえたり(幻聴)、「追われている」とか「殺される」とか、奥さんが浮気しているとか(妄想)、現実にはないことをあるかのように感じたり思いこんだりします。
離脱症状は酒を飲むと一時的には楽になるために、ついまた飲んでしまい、そのためにさらにアルコールへの依存が強くなるという悪循環に陥ってしまうのです。
(さかもと・たかし 藤代健生病院院長)
(「東奥日報」 2002.7.14 「家庭・暮らし」面「健康」欄に掲載)
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