2000.9.11更新

ダニーTの映画ガチョーン10

 9月9日から15日迄ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブがまた始まる。この映画の場合、上映ではなくて始まるといったほうがいい。先日の来日公演も大盛況だった「B・V・S・C」。最近いやな国になりつつあるこの国で、地球の裏側のキューバから来たじいさんたちのラテン・ミュージックをこの目で見ようとたくさんの人がいたことを思うとこの国もまだ捨てたモンじゃない。

 監督のヴィム・ヴェンダースがヴェンダースらしからぬ感じでソニーのハンディ・カメラなんかも使って(たまにピントなんかもボケてる)映し出した作品は、ライ・クーダが見つけ出した音楽の女神に愛された奇跡にミュージシャン達が奏でる音楽と渾然一体となって夢のような至福の時間に変える。
 チェ・ゲバラ、ヘミングウェイが愛したキューバ、すべての物が古くてボロボロだけど、そこには僕たちの世界にはない豊かな文化と色彩、そして忘れられたノスタルジーがあった。72歳のシンガー、イブライム・フェレールが歌い、92歳のコンパイ・セグンドがエリアデス・オチョアとギターを奏でながら歌う「チャン・チャン」が流れる中、キューバの町並みが映る。
 アメリカでもなく(すぐ麻薬・酒・女・男で身を持ち崩す)、ヨーロッパでもなく、南米でもなく、キューバだからこそ生き残ったといえる。だってみんな苦労してるもの。でもみんな輝いている。ラストのカーネギーホールでのコンサートの感動と感激。スクリーン・カーテンが閉まる最後まで席を立たせない。音楽好きな人も、そうでない人も、ぜひ見て欲しい一本。