ダニーTの映画ガチョ〜ン
バックナンバー
PART 50  2005.11.22更新

「SINOBI」のプロモーションで青森に帰ってきた下山天監督と久しぶりに会った。
彼との出逢いは、もうだいぶ前。あおもり映画祭で彼の35mmデビュー作「キュート」をシネマディクトで上映したいというデイジーの申し入れに僕が応えた。
公開当日早めに監督来るからということは聞いていたが、顔がわからない。そして、やってきた”監督”はどこか「転校生」の尾身君に似た映画好きの青年だった(今でもその容姿は変わらない。ちょっとハラ出てるけど)。
ちょうどその時ディクトでは「スターウォーズ」のデジタルリマスター版を上映していて、自作の上映前に、それも見た監督は、この映画を高校のとき見て映画監督になろうと思った一本だそうで、そのスターウォーズを映しているスクリーンに自分の「キュート」が映ることにとても感激していたことを憶えている。でも、その「キュート」の上映には実は問題があった。それはヨーロピアン・ビスタで撮られていること。映画のサイズには、正方形に近いスタンダード、横長のシネマ・スコープ、そしてその中間といっていいビスタ・ビジョンがあるけれど、そのなかでビスタはアメリカンとヨーロピアンがある(ややっこしいなー)。この違いは縦の長さが多少違う。日本の映画館は大体ビスタはアメリカン・ビスタのサイズに調整しているので、ヨーロピアンでは天地が多少切れる。そこで原始的に、監督自ら上下を調節して見せるということにした。(本当はあとで機械の調整やいろいろなことで機械に触らせるの嫌だったんだけど、まあいいっかって・・)。
暗い映写室で、この部分は上に合わせて、ここは下と監督自ら映写機の枠を調節していた。その時、誰かが「なんでこんなヨーロピアンなんかで撮ったんだ?」といったら監督がまるで少年のように一言「(可愛げに)だってパリの映画だ・もん」。しょうがねーなー、そんな風にいわれたら文句のつけようがネージャン。
その後の「イノセントワールド」の時も同じように今度は音に問題があって・・・。このこだわり監督は尽きることのない問題作ばかり撮る。だが下山天ほど若手でたて続けに東宝や松竹などの日本のメジャーで撮り続ける監督もそうはいない。その魅力は何か?僕が思うに、この監督は常に”新しい”ということだ。アクション映画を撮る時、香港のスタッフを使ったり、デジタル・カメラを駆使してホラーに挑戦したり、ハリウッドみたいに一般の人々から資金を募りファンドを立ち上げたり、と新しいことを常に仕掛けてくる下山天が僕は好きだ(カツ丼くらい)。そしてなによりも彼は偉ぶらない。とても誠実なのだ。そして映画の話をしだしたら、いつまでも、いつまでも、いつまでも話し続ける情熱家でもある。そして運がいい。聞くところによるとこれまでも映画制作上、大変な窮地に立たされたときでも決まって救世主が現れたそうだが、それは彼の人のなせるわざなのだ。いくら才能があってもそれにおごっていたら人々は離れていくだろう。運が良いというのは偶然ではなくて必然なのだ。彼は運が良い。それは下山天そのものが必然だからだ。
そう、彼には映画の神様がついている