2001.2.9更新

デイジー川嶋の 新世紀シネマエッセイ 002
 今年度の米アカデミー賞の最有力候補とされる映画「ペイ・フォワード[可能の王国]」が話題になっている。しかし、俺の身体は受けつけない。「新興宗教?」「カルト集団?」「ネズミ講?」「不幸の手紙?」なんか偽善っぽい映画がやたらと評判がいいと聞いて、ますます観たくなかった。この日本語の[可能の王国]というサブタイトルが嘘っぽいのだ。予告篇を観てもなんか信じられない。「やだなぁ」と思いながら映画館に入った。話題作だけあって、結構混んでいる。ますます「やな雰囲気」になる。「俺まで洗脳されたらどうしよう」と思い、身構えてしまった。そしたら「拍子抜け」した。「なんだ、大した映画じゃないじゃないか。楽しめるメルヘンだ。よしよし」と。その安心感からか、俺はこの映画を気楽に楽しんだ。そして、そろそろ終わりの時間が近づく。「いや〜、映画ってほんとにいいもんですね」と気楽に言える気分。
 ところが、ラスト10分にとんでもないドラマが待っていた。俺の目から涙が止まらない。不意をつかれた。「わぁあああ」と叫び走りたくなってしまった。そのまま映画は終わった。俺の心に[可能の王国]が芽生えた瞬間だった。「そういうことか」と納得しながら、自分の行動・言動の浅はかさを知る。この映画は自分に対する問いかけなのだ。俺はいつのまにか「やな大人」になっていたのだろう。「あぁ、やだやだ」と。しかし、自分を責めてはいけない。
 「ひとりの少年のアイデアが、世界を変えるかもしれない。」とはこの映画の宣伝文句。ジョン・レノンの「イマジン」のユートピアにも通じる考え方だ。「ペイ・フォワード」とは「先贈り」の意味の造語。「ディープ・インパクト」のミミ・レダー監督。「シックス・センス」のハーレイ・ジョエル・オスメント。「アメリカン・ビューティー」のケビン・スペイシー。「恋愛小説家」のヘレン・ハント。誰の心の中にもある[可能の王国]をあなたも目撃せよ。