2001.3.19更新

デイジー川嶋の 新世紀シネマエッセイ 003
 誰の心にも漂流する瞬間がある。空しくさ迷う心と時間。失ったものの大きさを知る時、人は寡黙の人となる。取り返しのつかない辛い思い出は、大きな傷跡となって心に刻まれる。「生き残るだけなら易しいかもしれない…本当に難しいのは生きてゆくことだ」ロバート・ゼメキス監督の言葉だ。凄い映画が誕生した。「キャスト・アウェイ」である。

 トム・ハンクスって、どうしてこんなに凄いのだろう。93年に「フィラデルフィア」で、94年には「フォレスト・ガンプ/一期一会」で2年連続して米アカデミー賞主演男優賞を受賞した彼。その後も、「アポロ13」「めぐり逢えたら」「ユー・ガット・メール」「プライベート・ライアン」「グリーンマイル」と話題作・問題作にばかり主演。そして今回は、一年がかりで25キロもダイエットしたという凄まじさなのだ。ストーリー展開は至って単純だが、無人島での生活は音楽もセリフもなく、一緒に体験ツアーしている感じだった。

 「米アカデミー賞」の季節だが、どの作品が受賞しても納得できる権威がある。俺のホンネは「自分の中の映画体験」が全てだから「賞のあるなし」は関係ないと思っているが、過日放送された「日本アカデミー賞」を見てガッカリしてしまった。阪本順治監督の「顔」がほとんどの映画賞を独占している中、「日本最高の映画賞」であるはずの「日本アカデミー賞」が民意からかけ離れた結果を露呈し、延々と放送し続けたのだ。最優秀監督賞を受賞したものの、2000年度こそ「顔」が日本映画の顔なのだ。これでは、どこかの国のホンズ内閣と同じではないか。日本とアメリカは違う。違うが、違ってほしくない。

不自由非民主党の社会で、映画だけは民意で選んでほしいのだ。押忍っ。

−絶望と孤立の中でこそ、真に大切な事が見えてくる。−トム・ハンクス−