デイジー川嶋の新世紀シネマエッセイ
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vol.054  2006.5.2更新

 青森県は数々の名作映画の舞台・ロケ作品を生み、幾多の映画人を輩出して来た「映画王国」である。と、叫び続けて15年。狂った映画オタクの戯言だと思われて15年。遂に汚名を返上する時が来たぜ。「時は来た!」って。
 昨秋から今春にかけて、とんでもないことが立て続けに起こっている。俺の生活はメチャクチャだ。かーちゃんは逃げるしぃ、借金取りは押し寄せるしぃ(ウソです→平和に元気で暮らしています)。
 昨年、「@ff第14回あおもり映画祭」初開催のむつ市会場がキッカケとなり、招かれたプロデューサーの目に止まり、映画のロケ地としてむつ市が選ばれた。そして映画「青いうた〜のど自慢青春編〜」(金田敬初監督作品)が完成した。5月13日の東京・青森先行公開(その後順次全国ロードショー)を待っている。エキストラ1300名動員という難事業を乗り越えた下北フィルムコミッションの頑張りもあって、地域が一体となって参加した素晴らしい映画になった。斉藤由貴が唄う「木綿のハンカチーフ」は涙なくして観られない。どんな大きな胸でも小さな胸でもキュンとなる青春映画の傑作の誕生である。あおもり映画祭実行委員会も協力した地域密着ムービーの一大叙事詩だ。

「青いうた〜のど自慢青春編〜」
http://www.aoi-uta.com/

@ffあおもり映画祭実行委員会
http://aff-aomori.com/top_index.html

下北フィルムコミッション
http://www.shimokita-fc.jp/

 そして、今年3月は青森市内で、冬の青森を舞台に、カーリング競技を素材にした青春スポーツコメディー映画「素敵な夜、ボクにください」(ベテラン中原俊監督作品)がロケされた。韓国人の主役はキム・スンウ。青森娘を演じる日本人女優に吹石一恵。トリノ冬季五輪で火がついたカーリングブームにも乗って、冬の青森が熱く注目を集めた。カーリングと津軽弁と韓国という三つの新しい要素が加味された不思議な大人の恋愛映画が生まれた。公開は来冬。
 そしてまた、青森県でロケされている映画がある。今度は七戸町などの上北郡、十和田市、三沢市の上十三(かみとうさん)地区、いわゆる県南、いわゆる南部が舞台。「四月になれば彼女は」という十和田市出身の作家・川上健一氏の純愛小説の映画化で、タイトルは「青森青春グラフィティー」の略で「アオグラ」(小林要監督作品)に決まった。4月初旬から3週間ロケされた。新幹線開業時の「七戸駅」の知名度アップのためもあり、早くからFC(フィルムコミッション)設立を準備していた七戸町の有志は、この機にFCを設立した。公開は今年の9月の予定だ。
 しかし、この一連の動きは何なんだろう。♪なんでだろぅ!なんでだろう!3本連続したため、さすがに驚いたが、これは「あおもり映画祭」15年の歴史だけなのではなく「なみおか映画祭」14年や、県内FCの先進地・弘前FCが誕生して、皆が青森県の魅力を全国に情報発信し続けた成果なのだろう。いろんな人脈と信頼関係が交差している。弘前FCは映画本編のロケこそ実現していないが、テレビドラマ、バラエティー、CFのロケが相次いでいる。それら全ての相乗効果が一気に噴出して来たと言える。
 今年、「青いうた〜のど自慢青春編〜」「素敵な夜、ボクにください」「アオグラ」という3本の青い矢を全国へ向けて放つことになる。略して「アオウタ」「ステボク」「アオグラ」と我々は勝手に呼んでいる。アチコチで「なぜ続く青森県ロケ映画」と尋ねられる。そもそもが映画王国であり、確認されているだけで80本以上がロケされている「まるごと自然の映画村」。開発が遅れたことがそのまま日本の原風景を残しているのだ。そこは、映画人を暖かく迎え入れる独特の風土を持った土地。映画人に青森ファンは多い。いま、青森県は映画による「ゴールドラッシュ」が始まったかのようだ。映画に夢を見る。映画に学ぶ。映画が人を育てる。映画が地域を動かす。青森県全体が夢工場なのだろうと思う。映画を通じた人づくり、地域づくりになると同時に、新たな観光振興にもつながっているのだ(いいこと言うなぁ、俺って…)。