デイジーKの新世紀シネマエッセイ
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vol.057  2007.2.9更新

 この冬に買った映画情報誌「日本映画navi/2007冬」(扶桑社ムック)で日本全国のロケ地情報が特集されていた。その中で、昨年からロケ作品が続出している「青森県」が「今後の注目県」と紹介されていた。昨年、県内でロケされ、全国で公開された映画「青いうた〜のど自慢青春編〜」は既にDVDが発売された。「アオグラ(青森青春グラフィティーの略)」は県内で先行公開されて、首都圏から順次公開されている。共に大きなヒットにはならなかったが、青森県の持つ素朴な自然と人情が郷愁を誘う佳作となった。

 そして現在、県内で先行公開中の「素敵な夜、ボクにください」は、「櫻の園」「12人の優しい日本人」「コキーユ」のベテラン・中原俊監督の最新作。昨冬、青森市内でロケしたラブ&カーリング映画だ。「韓流×青森×カーリング」というむずかしい要素が絡み合う新しいタイプのラブコメディー。ベテラン中原監督としても新しい局面となったと思う。とにかく楽しい映画だ。

 3月17日〜25日に青森市で開催される「2007世界カーリング選手権大会(女子)」。広瀬香美が歌う主題歌「サプライズ未来」は世界大会の公式テーマ曲にも選ばれ、チーム青森の人気と共に「カーリングのまち」を目指す青森市内は映画とカーリングで盛り上がりを見せ始めている。

 この映画の中の重要な1シーンとして、手づくりのまごころ弁当が登場する。ボランティアスタッフ二人が実際に作った本物の弁当なのだが、青森出身の女優役を演じる吹石一恵が「青森を離れるか、戻るか」という、大事な局面で登場する。見る者の涙を誘う名場面だが、このまごころ弁当で「青森の情」を表現した中原演出が心憎い。アスパムは三角関係の象徴として(?)登場する。

 そのまごころ弁当をイメージした「すてボク弁丼」が人気のカフェがある。映画ファンの間で既に大人気の「カフェ・ムーランルージュ」。青森市古川のいろは通りの一角に昨年5月にオープン。映画にちなんだネーミングと演出の料理が毎月変わるお店。いつ行っても違うものが食べられるという創作料理のカフェ。これまでにも「アメリ」「UDON」「ゲド戦記」「ショコラ」などが登場。現在も「パイレーツ・オブ・カリビアン3」から、ジャック・スパロウ(スパイシーチキン)を使ったサワークリームのチキン丼とか、「ゴッドファーザー」に登場したミートボールのトマト煮がリゾットになって復活!など絶叫メニューが盛り沢山。店内には映画に関するグッズがいっぱいあって、珍しいポスターを眺めるだけでも、さまざまな想像力がかき立てられる空間だ。
青森市古川1の13の14・2F(017−723-0680)

 続々とロケされる青い森ムービー。今年も何本かの映画ロケの話があり、この勢いはまだまだ続きそうだ。日本映画が好調なだけに、面白い展開が今年もありそうだ。シネコン(複合型映画館)が増え、青森県はスクリーン数で、47都道府県の中で全国14位という。娯楽施設に乏しい雪国で映画鑑賞が盛んなのは確かだが、そもそも映画が好きな県民性だということを強く感じる。映画館の設備はキレイになり、映画を楽しむ環境は整った。その映画館を応援しないと、この贅沢なバブル期はアッという間に通り過ぎて行くのかも知れない。映画を観よう。映画館で観よう。映画館を応援しよう。