デイジーKの新世紀シネマエッセイ
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vol.059  2007.8.31更新

 夏の終わりはいつも決まって、突然やって来る。この猛暑、あの酷暑、一体、なん残暑。ということでー(笑)、つらく長い夏が終わった。夏風邪に苦しんだ二週間。体力も落ち、自民党も大敗し(どんな関係がっ)、地球温暖化が一層加速している昨今。オレたちにできることはないのか?自問自答する自民党であった(どんな関係がっ)。
 
 オレたちが「あおもり映画祭」を始めて16年経った。その間「映画王国・青森県」と懸命に叫んでも空しいばかりだったが、ここに来て俄然とその動きに拍車がかかっている。♪なんでだろう、なんでだろう(もう死語?)。あおもり映画祭の活動の賜物と評価してくれる人もいるが、新幹線「新青森駅」開業を目前に控えて、関係各位が情報発信し続けたことの連鎖反応、相乗効果なのだと思う。
 
 ここ2年の間に「青いうた〜のど自慢青春編〜」「アオグラ」「素敵な夜、ボクにください」「銀河鉄道の夜」「五重塔」「大きな樹の下で」「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」などが県内ロケ作品として公開された。これから公開される映画、自主制作映画を含めるともっともっとある。それらが各地のフィルムコミッション(FC)やあおもり映画祭の協力の下で撮影されている。
 
 ポイントとなるのが、新しい時代のデジタル映画の存在である。従来のフィルム映画は巨額の予算が必要なため、日本映画が地方ロケラッシュと言っても、中央の大手映画会社の大作の候補に残るのは並大抵のことではない。しかし、近年のデジタル映画は低予算で撮影することが可能で、地元のロケ協力により経費削減できることが映画人には魅力。青森県の自然と風土の面白い魅力に加えて、心地よい撮影環境が整ったことでの中央の評価は悪くない。
 
 青い森ゴールドラッシュが落ち着いたのかと思えばそうではなく、「銀河鉄道の夜」「五重塔」の秋原正俊監督の次回作が八戸でロケされる。「伊藤則資の話−いにしえの月」というタイトル。デジタル映画の鬼才と言われる秋原監督は青森県の奥の深さにすっかり惚れ込んだ。地元は大歓迎だ。少しでも観光PRにつながればいいし、「映画」という遠い世界の出来事が身近で体験できる。映画の世界を志す若者たちも増え、「何もない田舎」は「いろんなことがある田舎」になって来た。田舎バンザイ!ヤッテマレ、ヤッテマレ!
 
 来春まで撮影が続く「三本木農業高校、馬術部」の撮影で奮闘する十和田FC。テレビドラマやCF撮影が相次ぐ県内FCの先駆者・弘前FC。FCがなくても映画・ドラマの撮影が相次ぐ五所川原市・津軽半島。行政と民間がスクラムを組んで、青森県の魅力を伝えようと躍起になっている。これまでの大きな観光地ではなく、見過ごされているような面白いところにスポットが当てられている。ロケにより新しい観光名所が増えているというわけだ。
 
 但し、手放しで喜んでいるわけではない。撮影隊の思惑と地元の思惑が一致しないトラブルは多いし、勝手な映画人に振り回されるケースもある。逆にもったいない「いい話」を地元の無理解によって棒に振る場合もあった。しかし、あおもり映画祭を16年続けて来たオレが思うのは、映画を「見る」だけだった受身の環境が「作る」「誘致する」「手伝う」「育てる」「紹介する」「交流する」と大きな変化を遂げたこと。たかが一本の映画で世の中が変わるわけがない。いや、人は変わるのだ。一本の映画で何かが変わる。青森県の観光を経済効果として数字で読むと大した効果にはなっていないだろうが、生活文化として、この数年の追い風で「映像ソフト」がもっと脚光を浴び、全うに評価されるはずだと断言できる。「映像文化」が地域の財産となって残り、そこから経済に波及する場合もある。そんな時代の転換期に生き、目撃できる幸せを思う。夏は終わり、収穫の秋を迎える。どんな味覚の映画たちが収穫されるのだろうか。映画祭が収穫祭なのだとしたら、青森県は映画に愛でられた土地であることを実感する。♪サ〜イギィ、サイギィ〜!ロッコー、サイギィ〜!