バックナンバー 2003.5.19更新

デイジー川嶋の新世紀シネマエッセイ vol.028
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 恒例の「あおもり映画祭」の季節が近づいて来た。最初から関わっている数少ない生き残り組の俺がいつもキャッチコピーや全体的なテーマを決めていたのだが、今年の映画祭の全体イメージがなかなか浮かばなかった。12年もやっていると俺の中でも燃える闘魂が消えつつあるのだろうか。そして迎えた3月の代表者会議で「AIR2003」の主催者・小川公二代表が「今年は青森県の自主制作映像のナンバーワンを決める」と説明した時、つい「戦争が始まって、いま時代はナンバーワンよりオンリーワンを求めている」と口を挟んでしまった。その後「そ、そうなんだよ」と自分に問いかけ、映画祭コンセプトが沸きあがって来た。映画の好き嫌いは、本当に個人の勝手。映画祭は何かの基準で作品を選んでいるようで、実は大した基準でもない。興行者ではないので、映画ファンの立場で「見たい作品」は色々あっても、実際に上映できるかは別問題だ。結局は個人の趣味とその時のやれる状況で選ぶ。本来、映画ってそうなんだと思う。いくらアカデミー賞○部門独占とか言われても、宣伝する側に は大切な宣伝材料でも、見る側には関係がない。自分の好きな映画をアレコレとボロクソに評論されたら嫌だし、自分の大切な想い出は自分だけのもの。だから「ナンバーワンじゃなく、オンリーワン」が正しいのだと思う。ただ、自主制作映像を創っている人たちには「比べられる」ことで磨かれて来るものがあるから、ナンバーワンを目指してやってほしい。昨年から地域別チーム制を導入しているので、それぞれ上映したい好みがマチマチ。そのことを「オンリーワンを探して。」というキャッチコピーで表現した。
 イベントや何かの活動を続けていると、継続することがいかに大変か感じる。金銭的なこと。いい仲間に恵まれること。そして、自分自身の「熱い思い」を持続させることも困難になる。へこむことは誰にでもある。ただ、それを前向きに考えられるか否か。俺はいつでも自分に問いかけている。「さぁ、ディ爺選手、人生最大のピンチを迎えたぁ。この危機を脱することができるか、それともこのまま終わるのかぁ」そう問いかけると、トーゼン燃え上がる。悔しさはバネとなる。途切れかけた情熱に再び火をつけられる。焼肉焼いても、家焼くな。人生は弱肉強食。このまま終わりたくないから、また頑張る。 映画祭は映画館事情と無関係ではない。12年前、ビデオの普及に伴い県内の映画館の閉館と映画サークルの解散が相次いだ。バブル崩壊後で映画祭をやる環境としては苦しかったが、映画祭を求める映画ファンの欲求は高まるばかりであった。あれから12年。映画館の減少から一転して、シネコン(複合型映画館)が増え、青森市は人口比率の映画館数が全国トップという贅沢な環境となった。今年「青森松竹」の閉館というニュースが流れた時、ある恐怖が現実となったことを知った。このままでは「街から映画館がなくなる」のだ。シネコンは郊外型で駐車場完備が絶対条件。交通弱者には遠い存在となる。郊外型シネコンと街角映画館は両方が共存してほしい。そんなことを考えていたら、八戸市内に8月「八戸フォーラム」という市民参加型シネコンが誕生する。座席数は中規模だが、市街地に9スクリーンのシネコンとは驚いた。そして同じく8月、イオン柏SCに8スクリーンのシネコン誕生という衝撃の仰天ニュース。こちらは青森松竹アムゼを経営するシネマセンターだが、時代の流れとは言いながら、あまりに急激な変化に戸惑ってしまう。大歓迎する一方で、映画祭が必要ないくらい色々な映画が上映されている。勿論、それでも映画祭で上映したい作品はあるのだが、12年前の「飢えている」状況とは全然違うということだ。この初夏から始まる空前のシネコンウォーズに心して備えよ。そして、5月下旬に発表される「第12回あおもり映画祭」に注目せよ。
 
 
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