title 見てはいけない愛。
<キャスト>
 トム・クルーズ ニコール・キッドマン
<監督>
 スタンリー・キューブリック


そこにあるのは、見てはいけない愛。天才監督キューブリックが眠っている欲望をつきつける
『この作品が自分の最高傑作だ』―スタンリー・キューブリックが自らそう語った「アイズ ワイド シャット」がついに、公開される。撮影に18ヶ月、編集に約1年をかけたこの作品は、「フルメタル・ジャケット」以来12年ぶりの新作。完成直後の99年3月7日、キューブリックはイギリスで死去した。「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」「フルメタル・ジャケット」・・・時代を予見していたのか、それとも彼が時代を創ったのか、キューブリックが提示したテーマは、つねに模倣され、追従され、無数のバリエーションを生み出してきた。そのキューブリックが、最後の作品で選んだテーマは愛。トム・クルーズとニコール・キッドマンという、もっともハリウッド的なカップルを夫婦役で主演に据え、濃厚なセックスシーンを演じさせたことでも話題を呼んだ。
 撮影・編集は異常なまでも秘密主義で進められ、99年3月2日、キューブリック死去のわずか5日前にニューヨークで行われた初試写会を見たのは、クルーズとキッドマン、そしてワーナー・ブラザーズの2人の会長テリー・セメルとロバート・デイリーの4人のみ。映写技師もフィルムをセッティングした後は映写室を出されるという極秘試写だったという。
もっと深く、もっと奥へ
クルーズとキッドマンが鏡の前で抱き合い、激しくキスをかわす様子が延々と映し出されるだけの、ナレーションも台詞も一切ない劇場用の予告編はセンセーションを巻き起こし、過激なセックス描写が公開前から世界中で話題の的となった。しかし、セックスそのものは単なる入り口にすぎない。映画を見ることによって、自分の奥に眠っている何かが暴かれ、犯される―「アイズ ワイド シャット」の観客が否応なしにさらされるのは、そんな体験だ。
 映画館に入る前と出た後で、同じ自分でいることを観客に許さない・・・そんな映画を作ってこれたのはキューブリックだけであり、だからこそ彼の映画は時代を超えて人々を魅きつけ、さまざまな分野に影響を与え続けてきた。
 死因も遺言もいっさい明かされていない巨匠の死。しかし、キューブリックは世界の観客に遺してくれた。彼が最後に仕掛けたショッキングで怪しい罠に墜ちるという、もう二度と味わうことのできない悦びを・・・