![]() |
こんなにも切ない殺人者が、かつていただろうか。 |
|---|---|
|
<キャスト> 二宮 和也 松浦 亜弥 鈴木 杏 |
|
|
<監督> 蜷川 幸雄 |
メインキャストに抜擢したアイドルたちについて蜷川幸雄は、「現代のアイドルは勉強熱心で演技に関しても優秀。ファンの視線を常に浴びながら競争の中で生きているたくましさもある」と語る。その言葉通り彼らの才能を120%引き出し、ガラスのような魂の震えとそれが壊れていく姿の美しさを鮮烈にスクリーンに焼きつけた。
「青の炎」は「義父殺し――17歳の少年の完全犯罪」というショッキングな題材をモチーフにしたエンターテインメント性豊かなサスペンスであると同時に、青春の光と影が激しく交錯するストレートな青春映画でもある。世の中が閉塞感に覆われた現代だからこそ、この映画の中での現実の理不尽さに対する若者たちの孤独な戦いは、必ずや観客の魂を鷲づかみにして揺り動かすにちがいない。
「僕は人間じゃないって・・・。でも世の中には笑ってやり過ごせないこともあるんだ。」
櫛森秀一(二宮和也)は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う美しい母・友子(秋吉久美子)と、素直で明るい妹・遥香(鈴木杏)の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者が出現した。十年前、母が再婚し、すぐ離婚した男・曽根(山本寛斎)だった。家に居座り傍若無人に振る舞う曽根から家族を守るために、秀一は法的手段に訴えるが大人の社会システムは秀一のささやかな幸せを取り返してはくれなかった。
一日中酒を飲んだくれているのみならず、母の体にまで手を出そうとする曽根に秀一の怒りは臨界点に達する。法の力も及ばず、話し合いも成立しない相手に、秀一は自らの手で曽根を殺害することを決意する。
インターネット上の裏サイトや法医学の専門書から収集した情報をもとに、秀一は「完全犯罪」のシナリオをねりあげる。
美術の実習時間の間に教室を抜け出し計画を実行する秀一。ガールフレンドの紀子(松浦亜弥)にかすかな不審を抱かれたこと意外はアリバイ工作も完璧だった。しかし、完璧に思えた犯行にもいくつかの小さなほころびが。鋭い直感で事件性を感じていた担当刑事の山本(中村梅雀)も粘り強く捜査を続けている。秀一の窮地を察した紀子は彼を救おうとするが、秀一はますます孤独な戦いの深みへと追い込まれていく・・・。