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時は全てを破壊し、行為は取り返しがつかない。 |
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<キャスト> モニカ・ベルッチ ヴァンサン・カッセル アルベール・ディポンテル |
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<監督> ギャスパー・ノエ |
『アレックス』は映画史上類を見ないほど凄まじい描写と至福のラストシーンで日本公開を待たれていた作品だ。物語は、恋人を暴行された男が自らの手で復讐するまでを、時間軸を逆に描いている。この描写にまず誰もが驚くだろう。しかし、それよりも本作が私たちの心を揺さぶるのは、連日放送される凶悪な事件、テロ犯罪が身近に起こる中で、私たちのささやかな幸福さえも、何の理由なく、一瞬のうちに壊されること、そして、何もそれを解決できない危うい現実をドキュメンタリーのように訴えてくるからに違いない。
本作の世界初上映となった2002年のカンヌ国際映画祭では、途中退場も目立ちながら、ラストシーンまで見た観客は惜しみない拍手を送った。その後全仏283館公開で3位の大ヒット!!イタリア、ベルギー、スイスでも驚異の動員を記録した。主人公の女性の名はアレックス。『時計じかけのオレンジ』のアレックスと同じ名前。キューブリック監督が単純な非暴力の世界に終わりを告げ、まさしくたった一人の人間の気ままな暴力の存在を訴えた『時計じかけのオレンジ』から30数年の時を経て、本作は徹底した暴力描写の裏に秘められた人間の尊厳と愛の不条理を映し出した傑作だ。
このパワフルな映画のオリジナルタイトルは「IRREVERSIBLE」。
それは、取り返しがつかない、回復不可能、という意味だ。
犯罪の多くは罰せられぬままで、愛する人を失うことは雷撃のように全てを破壊する。
虫の知らせなどというものは事態の進行を何ら帰ることはない。
なぜなら、時は全てを明らかにするのだから―――最悪のことも、最善のことも。