シンポジウム
「監督の眼、キャメラマンの眼、観客の眼」
 1997.11.2[SUN]

11月2日、田村正毅カメラマンの撮影した3本の映画を観終わった後、
若い2人の監督と田村さんの撮影秘話が披露されました。
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出席ゲスト(左から)
青山真治(監督)、田村正毅(キャメラマン)、
諏訪敦彦(監督)、大久保賢一(映画評論家)

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ロビーで歓談


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大久保
田村さんは、この映画祭に来る前は熊本で撮影をしてたんですが、 この後、また熊本へ戻られて撮影を続けるということです。 青山監督にお聞きしたいんですが、 helplessはどんなことを考えて田村さんと一緒に作られたんでしょう。
img青山 田村さんの絵が好きだったんです。面識もないし、怖い人というイメージでした。 シナリオを送ったんですが「アクションはできない」と断られて。 デュオの美術でもある磯見さんに相談したら「説得してやるよ」と言ってくれて。
img 田村さんのどの作品にひかれたんですか。
img 小川プロで撮影した作品ですね。「三里塚シリーズ」を集中的に見て。
img helplessの撮影を引き受けた理由は?
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田村
磯見さんから話があって、「シナリオの行間を読め」と... そうか、と思ったころ青山監督が来たんです。 ピストルとか人を殴ったりとか、その時のその人の気持ちを別に捉えればいいんで。
img helplessを進めて行く上で、どんな風に撮るとか打合せはしたんですか?
img カット割りの通りです。町の人とか、写したくないものを削いでいけばこうなるんで。 スタッフ同志はわかるから具体的な打合せはないですね。
img 自分の作る映画に空気を感じ取れないものか、思っていたんです。空気を画面に撮れるのは田村さんしかいない、と。
img 諏訪監督は、デュオに入る前にhelpless見てましたか?
img諏訪 いえ、デュオが終わってからですね。シナリオ無しでとるんなら、もう、田村さんしかいないと... デュオ、helpless、萌の朱雀には共通点があるような気がします。 田村さんの場合、人間だけ撮っているのに、同時に空気も撮ってるんです。
img デュオを引き受けた理由は。
img 諏訪のことは前から知っていたんで、諏訪が撮るからやろうーか、という感じで。
img シナリオ無しに変わった時の様子はどうでしたか?
img シナリオが10回位変わったんです。半年くらいたって、そのうちシナリオ無くてもいいじゃないか、 ということになって、周りが監督説得したんです。
img 混乱してるのを撮ればいいじゃないか、ということで励まされましたよ。
img どういう風にカメラを置いて出来事を撮ろうと考えたんですか。
img 出来事を撮ろうというよりは、その2人とどう一緒にいようかと。
img カメラのポジションというのはあるんですか。
img 唯一のポジションというのがあるんです。
img 「明るい場所」で4人がテーブルをはさんでいるシーンで、4人を交互に映しているところがおもしろいですね。
img 監督が4人を入れ込んでみたい、というんで。ワイドレンズもないし、セットも狭いし、苦肉の策であんな風に撮ったんです。
img 青山監督はデュオのどんなところが面白いと思いますか。
img 後頭部がこんなに見続けられるのか、と思いましたね。 リアリズムの考え方が僕と違うから、論争起こるような気もしますけど。 ここまでリアリズムをやることが有効なのか、と思いますね。 諏訪さんとの間に、自分との対称性を感じます。
img レンズは何種類くらい使うんですか。
img 唯一の場所を求めるとしたらレンズは1本でいいんです。 一つの開き直りのようなものですね。 helplessの場合は夾雑物を削いでいくことでリアリズムを、 デュオの場合は撮る側を削いでいくということで。 撮りたかった、戻ってくればいいんです。
img 田村さんから受けた刺激はどんなことでしたか。
img とにかく映画を見守ることで精一杯でした。田村さんは、何にも動じないんですよね。 僕の映画は一般的リアリティ。青山さんのは、抽象的だけど映画のトータルリアリティ。
img ギターの弦は6本だけど、1本で弾いたらどうなるか、それが田村さんの映画ですね。


 この後、田村さんは撮影のため熊本へ舞い戻るというハードスケジュール。
飛行機の時間ギリギリまでトークは続き、惜しまれながら会場を後にしたのでした。


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