10歳の春、自分が自分になる季節
10歳というふた桁の年齢にさしかかる小学校5年生は、肉体的にも精神的にも、大きな変化を迎える時期。他人との関わりのなかで、自分を意識し始め、「子ども」から「少年」へと成長していく。誰もが経験した、そんな季節を『どこまでもいこう』は、友情・裏切・別れを通して描いている。 強い友情で結ばれていたワルのアキラと光一は、小学5年生の春、ふたりの暴走を止めようとする教師の策略により、クラスを分けられてしまう。それでも、放課後になるとつるんでいたふたりだが、その関係は日がたつにつれ微妙な変化をみせる。光一は不良転校生とつきあいだし一方、アキラはクラスの中では目立たないが、思わぬ才能をもつ野村を知る。アキラにとって、それは、新しい価値観への
開眼であり、またアキラ自身の本来の資質との出会いでもあったのだ。 『どこまでもいこう』が描き出すのは無邪気で可愛い「子ども」でも、メディアに踊る「いまどきの」「子ども」でもなく、「いまを生きている」ひとりひとりの人間としての子どもたち。それは、10歳という年頃から歩み始める、意地っ張りで、もろくて、時に単純で、優しい男の生き方だ。女から見れば、それは「男子ってさ、ばかだよね」という一言で片づけられてしまうものなのだが・・・・・・。
主人公アキラ・新人の鈴木雄作に注目 『どこまでもいこう』に必要だったのは、人間ドラマを演しられる子役。監督、スタッフは、アキラたちを探しだすため、オーディションを通じて多くの子どもたちに会った。 がき大将でありながら、繊細さも合わせもつ主人公のアキラ役には、宮城県出身の鈴木雄作。表情の豊かさ、目の強さが買われての抜擢だ。映画初出演ながら、圧倒的な存任感をみせる。アキラの悪友であり、鼻っ端が強い光一役には水野真吾。NHK朝の連続ドラマ「すずらん」やCM等にすでに出演経験がある。アキラのマドンナ、珠代役には芳賀優里亜。アキラを一瞥する目の鋭さなど、子役とは思えない色気をただよわせる。ジオラマ作りの天才、野村には鈴木優也。はかなさゆえに強い印象を残す。 劇中で子どもたちが、歌ったり、演奏したりする音楽は映画『史上最大の作戦』(ノルマンディ上陸作戦を描いた62年のアメリカ映画。出演:J・ウェイン、H・フォンダ)の主題歌(ポール・アンカ作曲)。たたかう男たちのテーマ曲である。 |