『この世の外へ』PR 阪本順治監督&萩原聖人さん来青!
●撮影時に変わったこととかエピソードはありませんでしたか?
阪本監督 笑えるようなものは何も無かったですね。体重は6kgも落ちて、円形脱毛が3つも出来たし。マスコミの取材がある時は、メイクさんが隠してくれたんですよ(笑)。
自分が生まれてもいない、知らない時代を撮っているわけだから、誰かを傷つけていないだろうかとか、セットはこれでいいのだろうか、と自問自答し続けてましたね。
●美術(セット)にも、かなりこだわっていましたよね。
阪本監督 CGは使わない、昔のニュース映像も使わず、全部作ろう、ということにこだわったつもり。
例えば、当時の物をアメリカの収集家から買って空輸してもらったり。見ている人にはわからないだろう、ってことはスタッフとしても怖くて出来なかったしね。
●萩原さんは阪本監督作品「鉄拳」(1990年)に出演されてますが、今回のキャスティングはどんな感じで決められたんですか?そして、監督から見た萩原さんの魅力とは?
阪本監督 彼とはいつかまた一緒にやるつもりがあったんだけど、顔だちが今風(いまふう)でないところもあったかな(笑)。
あとはしっかり楽器の練習をしてくれるかとか、俳優として信頼を持てるか、ってことだね。
彼の性格は、ウジウジしてて、ひねくれ者で、物事を斜めに見るところがあって、面倒くさがり屋。
映画の醍醐味は、人間の弱いところ、痛いところを描くところだと思うから、そういう意味では、彼はとても良い素材だと思うよ。
●萩原さん、阪本監督との13年振りの仕事はどうでしたか?
萩原さん ストイックな監督ですから、常に身が引き締まる感じなんです。青森の寒さのようですよね(笑)。
監督は撮影以外のところも見てるので、嘘ついたりするとすぐばれちゃうんですよ。
だから裸にされたような感じですね。
●楽器、歌、英語といろいろなことをやらなくちゃいけなかったわけですが、いかがでしたか?
萩原さん 楽器・歌・英語とかよりも、芝居を監督に見てもらうことの方が大変でしたね。
楽器はできてあたりまえ、って感じでしたし。
阪本監督 70点ではOK出さないからね(笑)。
サックス奏者という設定だが、サックスは初めてという萩原さんは、近所のカラオケボックスで練習を行っていたとか。時には朝まで10時間も吹いていたこともあるという。
何事にも妥協することが無い阪本監督だけに、気が抜けなかったとのことである。
●ジャズバンド「ラッキーストライカーズ」の5人の仲はどうでした?ライバル意識みたいなものは無かったですか?
*ラッキーストライカーズは、萩原聖人、オダギリジョー、松岡俊介、村上淳、MITCHのジャズバンド。
人気・実力を兼ね備えた若手俳優が勢揃いし、リアルな演奏シーンを披露している。
萩原さん 世代は近くても5人の個性はバラバラなんですよ。共演するのもみんな初めてだから、お互いに興味はあったと思います。
ただ、競争意識というよりは楽器を真ん中にして、どうすればいい演奏ができるかってことに集中していたので、仲間意識のほうが強かったと思います。
MICHI以外は楽器の経験がほとんど無いんですけど、そのMICHIが「本当のバンドみたいだ。」と言ってくれたのは嬉しかったし、その空気が映像に出てればいいと思います。
●演出で粘ったシーンってどの辺ですか?
阪本監督 具体的には言えないけれど、5人全員が出てるシーンかな。
リハーサルを20回、本番も30回やったかな。
●青森の皆さんに一言お願いします。
萩原さん 男ばかり出てるんですが、カッコイイ映画なので是非、見に来てください。
とにかく見て楽しんでいただければ。
阪本監督 この映画は3回めと7回めが面白いです(笑)。
俳優の演技、そして色気を感じてください。
この映画は9.11の同時多発テロをきっかけに企画が持ち上がリ、取材で明らかになった戦後の様子やエピソードをシナリオに組み立てていった作品とのこと。たまたま作品の公開時期とイラクへの自衛隊派遣が同時期になってしまったけれど、全く意識したものではないという。
また、作品の全編を彩るジャズの名曲、「モナリザ」「A列車で行こう」「センチメンタル・ジャーニー」、そして「ダニーボーイ」等はジャズファンならずともお楽しみいただけることだろう。
試写会の行われた柏村から青森へ戻る途中、車中でつけたラジオ(NHK総合)から「ダニーボーイ」が流れてきた。
偶然という言葉だけでは片づけられない何かがこの作品には秘められているのかもしれません。
作品は2月7日から、シネマヴィレッジ8・イオン柏、青森コロナシネマ、下田TOHOシネタウンで公開される。