なみおか映画祭
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上映作品
11月19日 11月20日 11月21日 11月22日 11月23日
11月19日
映画女優・山田五十鈴 花の巻
『昨日消えた男』 (きのうきえたおとこ)
マキノ正博監督/1941年/日本/モノクロ/89分/スタンダード 
■裏長屋の因業大家が何者かに殺された。得体の知れない、ちょいといなせな文吉(長谷川一夫)が疑われる。彼にホの字の芸者小富(山田五十鈴)は気が気でない。もしかしたら、私が文吉さんをそそのかしたんで、殺しちゃったのかしら。ここに、南町奉行遠山金四郎が登場。あっと驚く展開に、渡辺篤とサトウ・ロクローの屑屋コンビよろしく、「なるほど、なるほどねえ。」「まったくだ、いやまったくだ。」と言うしかない傑作時代劇。
『浪華悲歌』 (なにわえれじー)
溝口健二監督/1936年/日本/モノクロ/89分/スタンダード 
■大阪の個人商店で電話交換手を務めるアヤ子(山田五十鈴)は、父の使い込みのため金策に走る。恋人は頼りにならない。好色な店の主人は、妾になることを条件に金を出す…。溝口監督は、ヒロインが家族の犠牲になって転落の一途を辿るというおきまりのパターンではない、女性のしたたかさ、自堕落さ、エゴイズムを山田五十鈴に要求する。ラスト、道頓堀にかかる橋をさっそうと歩ききる彼女は、監督の期待にみごと応えてみせた。
『愛のお荷物』 (あいのおにもつ)
川島雄三監督/1955年/日本/モノクロ/110分/スタンダード 
■50年前の日本のお話。増え続ける人口問題に歯止めをかけようと、産児制限を主張し、受胎調節相談所設置法案を提出した厚生大臣(山村聰)がてんやわんやの国会で答弁中、夫人は、産婦人科で妊娠を告げられる。長男の恋人も、二女も次々と妊娠し、おまけに大臣が学生の頃いい仲だった芸妓(山田五十鈴)と28年ぶりに再会するなり、あなたの子供を一目見てくださいと言われる始末。川島雄三による風刺の効いたホーム・コメディ。
『猫と庄造と二人のをんな』 (ねことしょうぞうとふたりのをんな)
豊田四郎監督/1956年/日本/モノクロ/136分/スタンダード 
■ぐうたら男庄造(森繁久彌)の先妻品子(山田五十鈴)は、庄造が若い福子(香川京子)と再婚したことを知り、おおいに憤慨する。このうえは必ず庄造を取り返してみせると決心し、手始めに彼が何より愛する猫のリリーを連れてくる。案の定、猫と一緒に飼い主もくっついてくるが、これを黙って見ている福子ではない…。二人のをんなの気合いの入った演技に、森繁久彌も、我々も、唖然呆然とする映画。原作は谷崎潤一郎。
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11月20日
少年たちの眼
『高校』 (こうこう)
フレデリック・ワイズマン監督/1968年/アメリカ/モノクロ/75分/スタンダード 
■ワイズマンはフィラデルフィアの公立高校を舞台にキャメラを回す。生徒指導や進路指導での教師と生徒のやりとりから一転して、サイモン&ガーファンクルの歌を題材とする詩の授業風景が映し出される。「…間延びした会話となげやりなため息…」という歌詞のリフレインが不気味でかつ滑稽に響く。ワイズマンを敬愛するガス・ヴァン・サントは『エレファント』を作る前、このドキュメンタリーを記憶にとどめていたに違いない。
『エレファント』 (えれふぁんと)
ガス・ヴァン・サント監督/2003年/アメリカ/カラー/81分/スタンダード 
■アル中の父親が運転する車で遅刻し、校長室に呼ばれるジョン。学校の暗室で撮ったばかりの写真を現像するイーライ。食べ吐きをするジョーダンとニコルとブリタニーの仲良し三人組。ネイサンとキャリーは昼休みの外出許可を事務室に申請する。アケイディアは同性・異性愛会のディベートへ、ミシェルは図書室のボランティアヘ。平穏に見える高校の昼休みは、迷彩服のアレックスとエリックによって惨劇の場と化すだろう。
『動くな、死ね、甦れ!』 (うごくな、しね、よみがえれ!)
ヴィターリー・カネフスキー監督/1989年/ソビエト/モノクロ/105分/スタンダード 
■1947年、ロシア極東の炭鉱町スーチャンに住む13歳のワレルカは母と二人暮らしだ。近所に住む少女ガリーヤのお茶売りを邪魔したり、トイレを溢れさせたりのワレルカの悪戯は、機関車の転覆、宝石強盗の手伝いへとエスカレートする。ガリーヤが彼を迎えに来て、二人は線路沿いに歩き出す。つかの間の平安を得て、少年が歌いだす。53歳のカネフスキーの長編処女作には、監督自身の少年時代の記憶が濃密に綴られている。
『少年裁判所』 (しょうねんさいばんしょ)
フレデリック・ワイズマン監督/1973年/アメリカ/モノクロ/144分/スタンダード *初公開 
■『高校』(1968)や『法と秩序』(1969)で「少年」という問題に取り組んできたワイズマンが、すでに法の一線を越えてしまった少年たちに改めて目を向けた一篇。訴追側や裁判官だけでなく、少年側に立つ弁護士やソーシャル・ワーカーにとってさえ、各事件はあくまで膨大な日常業務の流れの中にあるという事実が冷静に積み重ねられてゆく。効率よく次々に捌かれてゆく事件の合間で、裁かれる少年の切実な表情が目を射る。
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11月21日
成瀬巳喜男とエルンスト・ルビッチ
『流れる』 (ながれる)
成瀬巳喜男監督/1956年/日本/モノクロ/117分/スタンダード 
■東京の下町にある芸妓置屋の落日を、成瀬監督が愛惜こめて描き出す。置屋の女将に山田五十鈴、その娘に高峰秀子が扮し、芸妓には岡田茉莉子、杉村春子らが登場。そのほか田中絹代、栗島すみ子等、錚々たる女優陣の持ち味を大仰にではなくさりげなく引き出す成瀬演出は絶品である。なかでも山田五十鈴は扇の要。浴衣に団扇、膝には三毛猫がよく似合い、お座敷に出るために帯をきりりと締める立ち姿はなんと粋であることか。
『歌行燈』 (うたあんどん)
成瀬巳喜男監督/1943年/日本/モノクロ/93分/スタンダード 
■泉鏡花の同名小説を、成瀬は太平洋戦争勃発直後である昭和17年にクランクインする。天才能楽師喜多八(花柳章太郎)はお袖(山田五十鈴)に謡曲「珠取り」の仕舞を伝授する。白砂の海岸に連なる松林の中での彼女の舞いは圧巻。花柳章太郎は私生活でも彼女の虜となり、二人は以後数年にわたり恋愛関係に入る。その頃花柳章太郎は、「紫陽花(あじさい)や山田五十鈴という女」という一句を彼女に贈ったという。
『鶴八鶴次郎』 (つるはちつるじろう)
成瀬巳喜男監督/1938年/日本/モノクロ/89分/スタンダード 
■鶴八(山田五十鈴)が三味線を弾き、鶴次郎(長谷川一夫)が謡う新内は、当代一の人気コンビである。婚約までした二人だが、鶴次郎は彼女の元を去り、舞台を捨てる。数年後、二人はめぐりあい、そして再び舞台に上がる…。成瀬監督お得意の芸道ものの極めつけ。それにしても、鶴次郎が鶴八のうなじにホクロを見つけたときの彼女のしぐさといい、三味線を弾く際の凛としたたたずまいといい、山田五十鈴はまこと銀幕の女優である。
『田舎ロメオとジュリエット』 (いなかろめおとじゅりえっと)
エルンスト・ルビッチ監督/1920年/ドイツ/染色/45分(20fps)/サイレント・フルフレーム *初公開 
■無類のスキー好きで知られるルビッチが、雪山でロケをしたいばかりに撮ったと言われる愛すべきロマンティック・コメディ。シェークスピアの原作の舞台はアルプスの山村に移された。仮面舞踏会、窓の外からの求愛、二人の服毒自殺など、名高い場面のパロディがふんだんに盛り込まれ、結末はハッピーエンドに変更されている。ドイツとオーストリアに保存されていた二種の素材をもとに、1999年に染色最長版として復元された。
*ピアノ伴奏付き ピアノ伴奏・浅野清(弘前大学教授)
『花嫁人形』 (はなよめにんぎょう)
エルンスト・ルビッチ監督/1919年/ドイツ/染色/58分(20fps)/サイレント・フルフレーム *初公開 
■女性恐怖症のランスロは、男爵位と財産を相続したければ結婚しろと強要され、機械仕掛けの人形と形だけの結婚をすることにする。婚礼の儀式も済んだところで、人間の娘が人形になりすましていたことが明かされ、女性恐怖症を克服したランスロとめでたく結ばれる。長らく画質の劣悪な白黒プリントのみが残存していたが、近年、現存するすべての素材の元になったと考えられる可燃性プリントがオーストリアで発見され、本来の美しい映像が甦った。
*ピアノ伴奏付き ピアノ伴奏・浅野清(弘前大学教授)
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11月22日
映画女優・山田五十鈴 星の巻
『樋口一葉』 (ひぐちいちよう)
並木鏡太郎監督/1939年/日本/モノクロ/83分/スタンダード 
■樋口一葉(山田五十鈴)は、ほのかな愛を抱いていた半井桃水(高田稔)に文才を認められるが、周囲の嫉妬に耐えられず交際を絶つ。生活のために荒物屋を開く一葉。そこで出逢う下町の人々は、「たけくらべ」や「十三夜」から抜け出てきたかのようだ。一葉の半生を縦糸に、彼女の小説世界を横糸に織りなしながら、硝子障子越しの夜半の時雨、降りつむ雪までが細やかに描かれている。それを見やる切れ長な眼の山田五十鈴が美しい。
『祇園の姉妹』 (ぎおんのきょうだい)
溝口健二監督/1936年/日本/モノクロ/69分/スタンダード 
■祇園の街で芸妓をする姉梅吉(梅村蓉子)と妹おもちゃ(山田五十鈴)は、正反対の性格だった。人情に厚くおっとり肌の姉は、身上をつぶして着の身着のままで転がり込んできた旦那を手厚くもてなす。意地っ張りで気が強い妹は、この居候を早く追い出したい。こんな二人を軸に、落ちぶれてもなお人のいい大店の旦那や、ケチで女好きで恐妻家の骨董屋などがうごめく俗な世間のこもごもをきっちりと描く溝口映画の代表作。
『殺陣師段平』 (たてしだんぺい)
マキノ正博監督/1950年/日本/モノクロ/101分/スタンダード 
■大正の頃、新国劇の創始者沢田正次郎(市川右太衛門)は、殺陣(たて)師段平(月形龍之介)にリアルな殺陣の型を命ずる。「リアルってなんやねん?」。段平は沢田の言葉を理解できず決別し、妻のお春(山田五十鈴)の死に目にもあえなかった。5年後、中風に倒れた段平は、初めて新しい型を悟り、沢田に伝えてほしいと娘のおきくに口伝する……。病魔に襲われながらも段平を巡業の旅に送り出す、山田五十鈴の鬢のほつれが痛々しい。
『東京暮色』 (とうきょうぼしょく)
小津安二郎監督/1957年/日本/モノクロ/140分/スタンダード 
■世の中、所々に景気のいい風が吹く昭和30年代。夫と不仲なため、父の元に幼子と身を寄せる長女(原節子)は、母を知らずに育った妹(有馬稲子)が年頃となった今も、母の面影を探していることに気付く。それから間もなく、大陸帰りの雀荘「寿荘」のおかみ(山田五十鈴)が姉妹を知っているという話を耳にする。もしかして……。女として、母として、失うことへの覚悟が分けていく姉妹の明暗を、小津監督は相変わらず渋いモノトーンで切り取ってみせる
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11月23日
銀幕のかなたへ
『群盗、第七章』 (ぐんとう、だいななしょう)
オタール・イオセリアーニ監督/1996年/フランス・スイス・イタリア・ロシア・グルジア/カラー/122分/ヴィスタ 
■権力者がどんなに横暴だろうと、どんなに愚かな振る舞いをしようと、いつの時代も人々はしたたかに生きている。イオセリアーニは祖国グルジアの歴史を、中世、トルコの統治時代、共産革命前夜、密告と秘密警察の旧ソ連時代、ソ連解体の最中に起きたトビリシ内戦の日々、現代のパリと、時間と空間を自在に交錯させて、ユーモラスなおとぎ話に仕立てたが、ラストシーンに込められた郷愁の切なさに私たちは涙するだろう。
『永遠と一日』 (えいえんといちにち)
テオ・アンゲロプロス監督/1998年/ギリシャ・フランス・イタリア/カラー/134分/ヴィスタ 
■ギリシャ北部の港町、テサロニキ。重い病を患ったアレクサンドレは、今日が最後の一日と覚悟して目覚める。海に向かう少年の名前を呼ぶ母の声の記憶。3年前に死んだ妻アンナの手紙を娘のカテリーナに託すが、その一通にはアンナのアレクサンドレヘの想いが綴られていた。海辺の家での夏の日の記憶。警察からかくまったアルバニア難民の少年との一日が過ぎ、アレクサンドレはアンナに尋ねる。「明日の時の長さは?」
『永遠の語らい』 (とわのかたらい)
マノエル・ド・オリヴェイラ監督/2003年/ポルトガル・フランス・イタリア/カラー/95分/ヴィスタ 
■ローザ=マリアは7歳になる娘のマリア=ジョアナと共に、夫とボンベイで落ち合うために、ポルトから地中海、スエズ運河、紅海、アラビア海を辿る船旅に出る。それはリスボン大学で歴史学の教授を勤める彼女が、書物で見知ったヨーロッパ文明の歴史を確かめ、娘に伝える旅になるはずだった。アテネを過ぎ、イスタンブール、エジプト、アデンと船が進むにつれて、キリスト教文化とイスラム教文化の歴史的対立が色濃くなっていく。
『奇跡』 (きせき)
カール・テオドア・ドライヤー監督/1954年/デンマーク/モノクロ/126分/スタンダード 
■モノクロ画面が美しい。信仰の意味を問う映画史上の傑作。1920年代のデンマークのユトランド地方。ボーオン農場の当主モーテンの悩みは、長男のミッケルとインガーの夫婦に男の子が授からないこと、次男ヨ八ンネスが自分をキリストだと思い込んでいること、そして三男のアナスが宗派の違うアンネとの結婚を望んいることだ。インガーが死産の末、命を落とす。理性を取り戻したヨ八ンネスが彼女の復活を神に祈ると……。
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